一 食品衛生責任者等の選任
イ 法第五十一条第一項に規定する営業を行う者(法第六十八条第三項において準用する場合を含む。以下この表において「営業者」という。)は、食品衛生責任者を定めること。ただし、第六十六条の二第四項各号に規定する営業者についてはこの限りではない。なお、法第四十八条に規定する食品衛生管理者は、食品衛生責任者を兼ねることができる。
ロ 食品衛生責任者は次のいずれかに該当する者とすること。
(1) 法第三十条に規定する食品衛生監視員又は法第四十八条に規定する食品衛生管理者の資格要件を満たす者
(2) 調理師、製菓衛生師、栄養士、船舶料理士、と畜場法(昭和二十八年法律第百十四号)第七条に規定する衛生管理責任者若しくは同法第十条に規定する作業衛生責任者又は食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七十号)第十二条に規定する食鳥処理衛生管理者
(3) 都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が適正と認める講習会を受講した者
ハ 食品衛生責任者は次に掲げる事項を遵守すること。
(1) 都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が認める講習会を定期的に受講し、食品衛生に関する新たな知見の習得に努めること(法第五十四条の営業(法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)に限る。)。
(2) 営業者の指示に従い、衛生管理に当たること。
ニ 営業者は、食品衛生責任者の意見を尊重すること。
ホ 食品衛生責任者は、第六十六条の二第三項に規定された措置の遵守のために、必要な注意を行うとともに、営業者に対し必要な意見を述べるよう努めること。
ヘ ふぐを処理する営業者にあつては、ふぐの種類の鑑別に関する知識及び有毒部位を除去する技術等を有すると都道府県知事等が認める者にふぐを処理させ、又はその者の立会いの下に他の者にふぐを処理させなければならない。
二 施設の衛生管理
イ 施設及びその周辺を定期的に清掃し、施設の稼働中は食品衛生上の危害の発生を防止するよう清潔な状態を維持すること。
ロ 食品又は添加物を製造し、加工し、調理し、貯蔵し、又は販売する場所に不必要な物品等を置かないこと
ハ 施設の内壁、天井及び床を清潔に維持すること。
ニ 施設内の採光、照明及び換気を十分に行うとともに、必要に応じて適切な温度及び湿度の管理を行うこと。
ホ 窓及び出入口は、原則として開放したままにしないこと。開放したままの状態にする場合にあつては、じん埃、ねずみ及び昆虫等の侵入を防止する措置を講ずること
ヘ 排水溝は、固形物の流入を防ぎ、排水が適切に行われるよう清掃し、破損した場合速やかに補修を行うこと
ト 便所は常に清潔にし、定期的に清掃及び消毒を行うこと。
チ 食品又は添加物を取り扱い、又は保存する区域において動物を飼育しないこと。
三 設備等の衛生管理
イ 衛生保持のため、機械器具は、その目的に応じて適切に使用すること。
ロ 機械器具及びその部品は、金属片、異物又は化学物質等の食品又は添加物への混入を防止するため、洗浄及び消毒を行い、所定の場所に衛生的に保管すること。また、故障又は破損があるときは、速やかに補修し、適切に使用できるよう整備しておくこと。
ハ 機械器具及びその部品の洗浄に洗剤を使用する場合は、洗剤を適切な方法により使用すること。
ニ 温度計、圧力計、流量計等の計器類及び滅菌、殺菌、除菌又は浄水に用いる装置にあつては、その機能を定期的に点検し、点検の結果を記録すること。
ホ 器具、清掃用機材及び保護具等食品又は添加物と接触するおそれのあるものは、汚染又は作業終了の都度熱湯、蒸気又は消毒剤等で消毒し、乾燥させること。
ヘ 洗浄剤、消毒剤その他化学物質については、取扱いに十分注意するとともに、必要に応じてそれらを入れる容器包装に内容物の名称を表示する等食品又は添加物への混入を防止すること。
ト 施設設備の清掃用機材は、目的に応じて適切に使用するとともに、使用の都度洗浄し、乾燥させ、所定の場所に保管すること。
チ 手洗設備は、石けん、ペーパータオル等及び消毒剤を備え、手指の洗浄及び乾燥が適切に行うことができる状態を維持すること。
リ 洗浄設備は、清潔に保つこと。
ヌ 都道府県等の確認を受けて手洗設備及び洗浄設備を兼用する場合にあつては、汚染の都度洗浄を行うこと。
ル 食品の放射線照射業にあつては、営業日ごとに一回以上化学線量計を用いて吸収線量を確認し、その結果の記録を二年間保存すること。
四 使用水等の管理
イ 食品又は添加物を製造し、加工し、又は調理するときに使用する水は、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第二項に規定する水道事業、同条第六項に規定する専用水道若しくは同条第七項に規定する簡易専用水道により供給される水(別表第十九第三号ヘにおいて「水道事業等により供給される水」という。)又は飲用に適する水であること。ただし、冷却その他食品又は添加物の安全性に影響を及ぼさない工程における使用については、この限りではない。
ロ 飲用に適する水を使用する場合にあつては、一年一回以上水質検査を行い、成績書を一年間(取り扱う食品又は添加物が使用され、又は消費されるまでの期間が一年以上の場合は、当該期間)保存すること。ただし、不慮の災害により水源等が汚染されたおそれがある場合にはその都度水質検査を行うこと。
ハ ロの検査の結果、イの条件を満たさないことが明らかとなつた場合は、直ちに使用を中止すること。
ニ 貯水槽を使用する場合は、貯水槽を定期的に清掃し、清潔に保つこと。
ホ 飲用に適する水を使用する場合で殺菌装置又は浄水装置を設置している場合には、装置が正常に作動しているかを定期的に確認し、その結果を記録すること。
ヘ 食品に直接触れる氷は、適切に管理された給水設備によつて供給されたイの条件を満たす水から作ること。また、氷は衛生的に取り扱い、保存すること。
ト 使用した水を再利用する場合にあつては、食品又は添加物の安全性に影響しないよう必要な処理を行うこと。
五 ねずみ及び昆虫対策
イ 施設及びその周囲は、維持管理を適切に行うことができる状態を維持し、ねずみ及び昆虫の繁殖場所を排除するとともに、窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ及び排水溝の蓋等の設置により、ねずみ及び昆虫の施設内への侵入を防止すること。
ロ 一年に二回以上、ねずみ及び昆虫の駆除作業を実施し、その実施記録を一年間保存すること。ただし、ねずみ及び昆虫の発生場所、生息場所及び侵入経路並びに被害の状況に関して、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき必要な措置を講ずる等により、その目的が達成できる方法であれば、当該施設の状況に応じた方法及び頻度で実施することができる。
ハ 殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合には、食品又は添加物を汚染しないようその取扱いに十分注意すること。
ニ ねずみ及び昆虫による汚染防止のため、原材料、製品及び包装資材等は容器に入れ、床及び壁から離して保存すること。一度開封したものについては、蓋付きの容器に入れる等の汚染防止対策を講じて保存すること。
六 廃棄物及び排水の取扱い
イ 廃棄物の保管及びその廃棄の方法について、手順を定めること。
ロ 廃棄物の容器は、他の容器と明確に区別できるようにし、汚液又は汚臭が漏れないように清潔にしておくこと。
ハ 廃棄物は、食品衛生上の危害の発生を防止することができると認められる場合を除き、食品又は添加物を取り扱い、又は保存する区域(隣接する区域を含む。)に保管しないこと。
ニ 廃棄物の保管場所は、周囲の環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理を行うことができる場所とすること。
ホ 廃棄物及び排水の処理を適切に行うこと。
七 食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理
イ 食品又は添加物を取り扱う者(以下「食品等取扱者」という。)の健康診断は、食品衛生上の危害の発生の防止に必要な健康状態の把握を目的として行うこと。
ロ 都道府県知事等から食品等取扱者について検便を受けるべき旨の指示があつたときには、食品等取扱者に検便を受けるよう指示すること。
ハ 食品等取扱者が次の症状を呈している場合は、その症状の詳細の把握に努め、当該症状が医師による診察及び食品又は添加物を取り扱う作業の中止を必要とするものか判断すること。
(1) 黄疸
(2) 下痢
(3) 腹痛
(4) 発熱
(5) 皮膚の化膿性疾患等
(6) 耳、目又は鼻からの分泌(感染性の疾患等に感染するおそれがあるものに限る。)
(7) 吐き気及びおう吐ニ 皮膚に外傷がある者を従事させる際には、当該部位を耐水性のある被覆材で覆うこと。また、おう吐物等により汚染された可能性のある食品又は添加物は廃棄すること。施設においておう吐した場合には、直ちに殺菌剤を用いて適切に消毒すること。
ホ 食品等取扱者は、食品又は添加物を取り扱う作業に従事するときは、目的に応じた専用の作業着を着用し、並びに必要に応じて帽子及びマスクを着用すること。また、作業場内では専用の履物を用いるとともに、作業場内で使用する履物を着用したまま所定の場所から出ないこと。
ヘ 食品等取扱者は、手洗いの妨げとなる及び異物混入の原因となるおそれのある装飾品等を食品等を取り扱う施設内に持ち込まないこと。
ト 食品等取扱者は、手袋を使用する場合は、原材料等に直接接触する部分が耐水性のある素材のものを原則として使用すること。
チ 食品等取扱者は、爪を短く切るとともに手洗いを実施し、食品衛生上の危害を発生させないよう手指を清潔にすること。
リ 食品等取扱者は、用便又は生鮮の原材料若しくは加熱前の原材料を取り扱う作業を終えたときは、十分に手指の洗浄及び消毒を行うこと。なお、使い捨て手袋を使用して生鮮の原材料又は加熱前の原材料を取り扱う場合にあつては、作業後に手袋を交換すること。
ヌ 食品等取扱者は、食品又は添加物の取扱いに当たつて、食品衛生上の危害の発生を防止する観点から、食品又は添加物を取り扱う間は次の事項を行わないこと。
(1) 手指又は器具若しくは容器包装を不必要に汚染させるようなこと。
(2) 痰又は唾を吐くこと。
(3) くしやみ又は咳の飛沫を食品又は添加物に混入し、又はそのおそれを生じさせること。
ル 食品等取扱者は所定の場所以外での着替え、喫煙及び飲食を行わないこと。
ヲ 食品等取扱者以外の者が施設に立ち入る場合は、清潔な専用の作業着に着替えさせ、本項で示した食品等取扱者の衛生管理の規定に従わせること。
八 検食の実施
イ 同一の食品を一回三百食又は一日七百五十食以上調理し、提供する営業者にあつては、原材料及び調理済の食品ごとに適切な期間保存すること。なお、原材料は、洗浄殺菌等を行わず、購入した状態で保存すること。
ロ イの場合、調理した食品の提供先、提供時刻(調理した食品を運送し、提供する場合にあつては、当該食品を搬出した時刻)及び提供した数量を記録し保存すること。
九 情報の提供
イ 営業者は、採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売する食品又は添加物(以下この表において「製品」という。)について、消費者が安全に喫食するために必要な情報を消費者に提供するよう努めること。
ロ 営業者は、製品に関する消費者からの健康被害(医師の診断を受け、当該症状が当該食品又は添加物に起因する又はその疑いがあると診断されたものに限る。以下この号において同じ。)及び法に違反する情報を得た場合には、当該情報を都道府県知事等に提供するよう努めること。
ハ 営業者は、製品について、消費者及び製品を取り扱う者から異味又は異臭の発生、異物の混入その他の健康被害につながるおそれが否定できない情報を得た場合は、当該情報を都道府県知事等に提供するよう努めること。
十 回収・廃棄
イ 営業者は、製品に起因する食品衛生上の危害又は危害のおそれが発生した場合は、消費者への健康被害を未然に防止する観点から、当該食品又は添加物を迅速かつ適切に回収できるよう、回収に係る責任体制、消費者への注意喚起の方法、具体的な回収の方法及び当該食品又は添加物を取り扱う施設の所在する地域を管轄する都道府県知事等への報告の手順を定めておくこと。
ロ 製品を回収する場合にあつては、回収の対象ではない製品と区分して回収したものを保管し、適切に廃棄等をすること。
十一 運搬
イ 食品又は添加物の運搬に用いる車両、コンテナ等は、食品、添加物又はこれらの容器包装を汚染しないよう必要に応じて洗浄及び消毒をすること。
ロ 車両、コンテナ等は、清潔な状態を維持するとともに、補修を行うこと等により適切な状態を維持すること。
ハ 食品又は添加物及び食品又は添加物以外の貨物を混載する場合は、食品又は添加物以外の貨物からの汚染を防止するため、必要に応じ、食品又は添加物を適切な容器に入れる等区分すること。
ニ 運搬中の食品又は添加物がじん埃及び排気ガス等に汚染されないよう管理すること。
ホ 品目が異なる食品又は添加物及び食品又は添加物以外の貨物の運搬に使用した車両、コンテナ等を使用する場合は、効果的な方法により洗浄し、必要に応じ消毒を行うこと。
ヘ ばら積みの食品又は添加物にあつては、必要に応じて食品又は添加物専用の車両、コンテナ等を使用し、食品又は添加物の専用であることを明示すること。
ト 運搬中の温度及び湿度の管理に注意すること。
チ 運搬中の温度及び湿度を踏まえた配送時間を設定し、所定の配送時間を超えないよう適切に管理すること。
リ 調理された食品を配送し、提供する場合にあつては、飲食に供されるまでの時間を考慮し、適切に管理すること。
十二 販売
イ 販売量を見込んで適切な量を仕入れること。
ロ 直接日光にさらす等不適切な温度で販売したりすることのないよう管理すること。
十三 教育訓練
イ 食品等取扱者に対して、衛生管理に必要な教育を実施すること。
ロ 化学物質を取り扱う者に対して、使用する化学物質を安全に取り扱うことができるよう教育訓練を実施すること。
ハ イ及びロの教育訓練の効果について定期的に検証を行い、必要に応じて教育内容の見直しを行うこと。
十四 その他
イ 食品衛生上の危害の発生の防止に必要な限度において、取り扱う食品又は添加物に係る仕入元、製造又は加工等の状態、出荷又は販売先その他必要な事項に関する記録を作成し、保存するよう努めること。
ロ 製造し、又は加工した製品について自主検査を行つた場合には、その記録を保存するよう努めること。