HACCPの考え方を取り入れた衛生管理では一般衛生管理と重要管理ポイントの二つで管理するということはわかったけれど、具体的にどんなことをすれば良いのかな?
一般衛生管理というのは、食品関連の事業者さんならこれまで既に行っている、手洗いや清掃のような基本的な衛生管理のことね。
これに対して重要管理ポイントというのは、製造工程に着目して、食中毒の発生防止のために特にしっかりと管理しなければならない工程のこと。だから業種によってだいぶ変わってくる。
そこでまずは誰でもわかりやすい一般衛生管理について詳しく見ていこう。
一般衛生管理は、衛生的な環境のために必要となる事柄を検討し、衛生管理計画としてまとめたものです。例えば次のような事柄について、各事業者、店舗ごとに検討します。
- 原材料の取り扱いについて
- 施設、店舗の清潔維持について
- 従業員の健康・衛生について
- 廃棄物の管理・処理方法について
- ネズミやゴキブリといった害獣、害虫対策について
一般衛生管理の内容
食中毒発生要因の多くは、この一般的衛生管理の不備によるものです。そこでまずこの一般的衛生管理を着実に実施できるような計画を作成することが必要です。
次に挙げる各項目につき<なぜ>管理が必要なのかを意識しながら、<いつ>行うのか、<どのように>行うのか、<問題があったとき>にどのように対応するのかを考えながら、衛生管理計画を作成します。また各項目必要に応じて具体的な手順を示した手順書・マニュアルを併せて作成します。
- 原材料の取り扱い
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- 原材料の受け入れ確認
腐敗している、包装が破れている、消費期限が切れている、こういったものは、有害な微生物が増殖している可能性があるため、受入時の確認が必要です。 - 冷蔵・冷凍庫の温度確認
温度管理が不適切な場合は、有害な微生物が増殖したり、食品の品質が劣化したりする可能性があるため、温度管理に注意が必要です。
- 施設・店舗の清潔維持
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- 交差汚染・二次汚染の防止
保管や調理の際に、生肉や生魚などから他の食品へ有害な微生物の汚染が広がる可能性があるため、対策が必要です。 - 器具等の洗浄・消毒・殺菌
汚れが残っていると、他の食品に汚れや有害な微生物の汚染が広がる可能性があるため、器具等の取り扱い方法について決めておく必要があります。 - トイレの洗浄・消毒
トイレは有害微生物に汚染される危険性が最も高い場所ですから、洗浄・消毒方法について明確にしておく必要があります。
- 従業員の健康・衛生
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- 従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など
調理従事者の手指や切り傷、汚れた作業着等から食品へ有害な微生物の汚染が広がる可能性があるため、管理方法や対処を検討します。 - 衛生的な手洗いの実施
手には目に見えない有害な細菌やウィルスが付着していることがあり、食品を汚染する可能性があるため、手洗い方法やその実施について決めておきます。
- その他
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- 廃棄物の管理方法
廃棄物は汚染された食品を多く含み、そこから汚染が広がく可能性があるため、管理方法や処理方法を検討します。 - 鼠族・害虫対策
ネズミやゴキブリなどが調理環境内へ侵入したり発生したりすることは、二次汚染や異物混入の原因となるため、対策を検討します。
一般衛生管理の記載例
スクロールできます
管理項目 | いつ | どのように | 問題があったとき |
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原材料の受け入れ確認 | 原材料納入時
| 外観、包装の状態、におい、表示期限、保存方法を確認する。 冷凍品は、溶けていないことを確認する。 納品チェックシートに記録する。 | 返品し、交換する。 |
冷蔵・冷凍庫の温度確認 | 始業前 終業後 | 温度計で庫内温度を確認する。(冷蔵:10度以下 冷凍:-15度以下) 一年に一回温度計の較正を行う。(別の温度計で測定) 温度記録表に記録する。 | 異常の原因を確認、設定温度を再調整する。 継続して温度に異常がある場合は修理を依頼する。 庫内の食材は状態に応じて使用しない、または加熱して提供する。 |
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