HACCPに基づく衛生管理 〜記録付けと文書化〜

 HACCPを始めてからとにかくなんでも文書にして残しなさいと言われて、書類の山になっちゃってるよ。こんなに書類必要なの?なんだか作るのも管理も面倒になってきちゃったよ。

 確かにHACCPを始めると、たくさんの書類ができて大変だよね。
 でもそういった書類をなぜ作成するのか、なぜ必要となるのかを考えて欲しいかな。何度も言っているけれど、HACCPは計画を作って終わりじゃなく、Plan(計画)を作り、Do(実行)して、Check(検証)して、Act(見直し、改善)することで、より安全な衛生管理を目指すものだったよね。このPDCAサイクルを回すには、計画はもちろん、その根拠となった内容や、計画の実施記録などがなければ検証はできなくなって、HACCPシステム自体維持できなくなってしまう。
 こうやって計画や実施状況を書類として残しておくことで、はじめてHACCPは「見える化」されてHACCPとして機能することを忘れないで欲しいかな。

 「記録がないのはやっていないことと同じ」

 HACCPはその記録こそが命綱と思って継続してね。

 HACCPは多数の記録を要求します。HACCP計画はもちろんのこと、CCPのモニタリング記録、HACCPの前提となる一般衛生管理の記録、標準作業手順の書類、検証の各記録など、様々な書類が必要となります。
 もし記録付けを怠るような状況となればHACCPは機能しなくなりますし、記録付けを行ったとしても必要な書類を適宜見つけることができないようなずさんな管理状況に陥るとすれば、やはり検証作業は困難となりHACCPは機能しません。他方、あまり現場の負担となるような書類の要求は、いい加減な記録や、形式的な記録の作成の原因となる可能性があり、記録自体の意味がなくなってしまうおそれがあります。
 そのため、効率の良い記録付けと文書の保管はHACCP計画の成功に必須といえます。

HACCP7原則12手順

  • <手順1:HACCPチームの編成>
    HACCPを導入、実施するにあたってその中心となるチームを編成します。
  • <手順2:製品についての記述>
    HACCPによって管理する製品の仕様書を作成します。
  • <手順3:製品の用途、対象消費者の明確化>
    製品の用途や対象となる消費者を明らかにします。
  • <手順4:フローダイアグラムの作成>
    製品の製造工程をフローダイアグラムによって明確にします。
  • <手順5:フローダイアグラムの現場確認>
    作成したフローダイアグラムが実際の製造工程と一致しているか確認します。
  • <手順6(原則1):危害要因の分析>
    工程ごとに原材料由来や工程中に発生しうる危害要因(食中毒や異物混入等の原因)を列挙して、管理する方法を挙げていきます。
  • <手順7(原則2):重要管理点の決定>
    危害要因を取り除き、あるいは低減させるために特に重要な工程を決定します。(加熱殺菌や金属探知など)
  • <手順8(原則3):管理基準の設定>
    原則2で特定した重要な工程を適切に管理するための基準を設定します。(温度、時間など)
  • <手順9(原則4):モニタリング方法の設定>
    重要管理点を正しく管理するための確認方法や頻度を設定します。
  • <手順10(原則5):是正措置の設定>
    モニタリングの結果、管理基準が逸脱したときに実施する改善措置を設定します。
  • <手順11(原則6):検証方法の設定>
    HACCPが適切に機能しているか、修正が必要かどうかを判断するために必要な検証方法を設定します。
  • <手順12(原則7):記録と保存方法の設定>
    HACCPが実施され、問題が生じた際に原因究明に役立つよう記録を維持・管理する方法を設定します。
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