重要管理ポイントとは、食品の具体的調理工程において、どのような点に注意すれば食中毒の危険を防止できるのかをあらかじめ検討し、それに従い調理を行うことで、衛生管理を行うものです。
もっとも、調理工程はメニューによって様々で、それを全て検討するのはあまりに大変な作業です。しかし実は大抵の料理は、大きく次の3つのメニューに分けてその調理工程を検討することで重要管理ポイントはカバーできます。
- 加熱しないメニュー
- 加熱して提供するメニュー
- 加熱後冷却または再加熱するメニュー
これは、食中毒予防の三原則である「付けない」「増やさない」「やっつける」に関連しています。
重要管理ポイントは、正に食中毒を予防するために検討するものです。そこで、まず加熱して食中毒菌を「やっつける」ことができる料理ならば、その加熱工程の管理方法を考えます。これが❷の加熱して提供するメニューです。
これに対して、加熱しても生き残る、熱に強い病原菌が存在します。そのような病原菌の場合は、食中毒の危険が発生するほどまで「増やさない」ように、加熱後の速やかな冷却や再加熱による殺菌を行います。これが❸加熱後冷却または再加熱するメニューです。
そして、そもその加熱工程がなく、加熱による殺菌を行うことのできないメニューがあります。これが❶加熱しないメニューであり、このメニューは、食材の仕入れや保管、器具の使い分け、十分な洗浄などによって食中毒菌を「付けない」ことが重要なポイントとなってくるわけです。
寿司店は寿司、刺身のように加熱しない生ものが大半でしょうから❶の加熱しないメニューを検討することが重要管理ポイントの中心となります。しかし、寿司のシャリは❸加熱した後冷ましたものですし、お吸い物や味噌汁といったものは、❷加熱調理したものといえます。さらにいえば、メニューひとつをとっても手巻き寿司の海苔は加熱しないものです。飾りに乗せた万能ネギや白髪葱も加熱しないものです。このように3つに分類するといっても注意が必要です。まずはお店のメニューがどのような食材からなり、またどのような調理工程を経ているのかをきちんと検討してみてください。